2006/09/08 例会
「ガス燈」 1944年 アメリカ 114分
監督: ジョージ・キューカー
製作: アーサー・ホーンブロウ・Jr
原作: パトリック・ハミルトン
脚本: ジョン・ヴァン・ドルーテン ウォルター・ライシュ ジョン・L・ボルダーストン
撮影: ジョセフ・ルッテンバーグ
音楽: ブロニスラウ・ケイパー
出演: シャルル・ボワイエ
イングリッド・バーグマン
ジョセフ・コットン
メイ・ウィッティ
アンジェラ・ランズベリー
テリー・ムーア
ロンドン、ソーントン街。ガス燈の点る頃、この町を後にしイタリア留学に向かうポーラ(バーグマン)。
彼女の育て親である、名歌手の誉れ高き叔母は何者かに殺され、事件は未解決。
傷心のまま旅立った彼女だったが、新天地で恋をし、声楽の勉強を諦め、その相手、作曲家のグレゴリー(ボワイエ)と夫婦になる。
彼は彼女の育った家に関心を持ち、そんな落ち着いた環境で暮らしてみたいと言うので、ポーラも忌わしい記憶を拭い去って、
ロンドンで再び生活を始めるが、叔母のピアノに男名前の差出人の手紙を見つけて以来、物忘れや盗癖が目立ち始めたと、夫は指摘する。
部屋のガス燈も奇妙にちらつき暗くなる。それを感じるのは自分だけのようだ。本当に狂ってしまったのか……。
彼女の不安は高まる。夫と共に出かけたロンドン塔ですれ違った男に会釈され、思わず微笑み返すポーラ。
しかし、彼は知らない人だ。が、観客にはすぐ、これが彼女の叔母に可愛がられた警部キャメロン(コットン)だと分かる。
彼は彼女と夫の様子を見て、迷宮入りした叔母の件の再調査に取りかかるが……。
謎解きよりグルーミーなキューカーの雰囲気演出に見どころのある作品で、40年の同名英映画のリメイク。
バーグマンのニューロティックな演技のうまさ(アカデミー主演女優賞受賞)もあり、
あらかじめ分かっていることを思っていた通り辿ることが快感にもつながる。
A・ラズベリーの淫蕩な感じのメイドが謎めいて、いい効果をあげている。
筋に直接関係ないが、叔母が最も大事なファンにあげたと言う、作曲家グノーのサイン入りの手袋の片方の所在に関する挿話が微笑ましい。