2006/02/25 例会    

       「天国と地獄」 1963年 日本   143分
 

    監督: 黒澤明
    製作: 田中友幸  菊島隆三
    原作: エド・マクベイン
    脚本: 黒澤明  菊島隆三 小国英雄  久板栄二郎
    撮影: 中井朝一 斎藤孝雄
    美術: 村木与四郎
    音楽: 佐藤勝

    出演: 三船敏郎
         香川京子
         江木俊夫
         佐田豊
         島津雅彦
         仲代達矢
         石山健二郎
         木村功
         加藤武
         三橋達也
         伊藤雄之助

   エド・マクベインの原作を巨匠・黒澤明監督が映画化した傑作サスペンス。優秀な知能犯に刑事たちが挑む。
   ナショナル・シューズの権藤専務は、自分の息子と間違えられて運転手の息子が誘拐され、身代金3千万円を要求される。
   苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して3千万円を用意する。無事子どもは取り戻したが、
   犯人は巧みに金を奪い逃走してしまい、権藤自身は会社を追われてしまう……。
   巧妙なプロットもさることながら、登場人物たちの心理描写が秀逸で人間ドラマとしての完成度も非常に高い。
       (http://www.allcinema.net/より) 

   黒沢の、代表作の、一つである。
   前編は、株式支配による、会社乗っ取り劇であり。企業役員の、権力闘争でもある。そこに、子供の誘拐事件が、起こる。
   中編は、子供誘拐事件で、事件は、俄かに、緊張する。犯人から、金の要求が、あり。3000万円。
   一万円札、五千円札、千円札、夫々、分けての、要求が、ある。
   主人公が、金を、出すか、出さないか、で人間的葛藤がある。この間、警句あり、人生訓ありで、面白い。
   犯人からの、数回の要求で、犯人の、大体の輪郭が分って来る。犯人が、単独犯で無いこと。
   いよいよ、犯人から、金の引渡し、と子供の、解放について、最後の、電話がある。金3000万円を、二つの鞄に入れ、特急こだま2号乗にれと、
   簡単な指示が、ある。こだま2号の中で、主人公に車内電話が、あり、酒匂川の橋の手前の土手で、子供を見せる、川を渡った土手で、
   列車の洗面所の窓から、二つの鞄を、落せ。その指示通りに、する。
   後編は、これで、子供は、帰り、金は、犯人に渡る。これ以後は、神奈川県警の捜査本部の、捜査となる。
   地味で、緻密な捜査の結果、から、蟻の一穴から堤が、壊れる様に、犯人に辿り着き、逮捕となる。
   犯人逮捕までの、経過を、書きたいが、字数が、足りない。
   子供の絵とか、犯人の車種、江ノ電から、犯人に家が腰越と分る。腰越は、義経の腰越状や、竹崎季長絵詞で、有名である。
   最後に、また、私事ですが、私は、戦後直ぐ、横浜の高校に在学していたので、当時の黄金町、伊勢崎町の画面が、懐かしく思えた。

      (会員Tさんのメールより)
      
   「天国と地獄」も見応えあり、堪能いたしました。
   あの青年にとっては、高台に建つ豪邸に住む者が天国みたいで自分の境遇が地獄そのものだと、憎悪をつのらせて犯行に及ぶ。
   計算された緻密な行動に、何でもない通行人や乗客まで「もしや・・」とハラハラ・ドキドキ。
   猛者揃いの刑事たち。芸達者の俳優陣をこともなげに脇役に配し、面白くない捜査会議でも、観る側をぐいぐいひきつける黒澤監督の手腕。 
   (うーん お見事)
   緊迫した中にもユーモアをはさむ(「花屋に入ったぞ」「オイ誰か行け」「花を買うような面はいねえよ」 (^O^) )
   手に包帯の絵。やはり純真な子供の目がホシを挙げる決め手に。紅い煙がたち昇った場面では、やったと手をたたきたい気分でした。
   考証あっての(それこそ裏をとってというべきか)刑事ものでしょうから、あの地道な捜査活動は、IT関連を駆使した現代にあっては、
   ある意味一種のバイブル的な要素を含む映画ではないでしょうか。
   貴方にとっての「天国と地獄」とは、と問われても答えに窮しますが、少なくとも皆様と共に映画を観る事が出来るのは幸せな時間です。
      (会員Eさんのメールより)     

  
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